ミシガン大が熱を利用した“ソーラー”バッテリー技術! エネルギーを効率的に再利用
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太陽光や風力発電で生成したエネルギーを熱として保存する「蓄熱方式」は、電気のまま蓄積する方式よりも低コストで運用できるとのメリットがある。ただ蓄熱方式では、熱を電気に変換するプロセスにまだ課題があり、効率の改善余地があるようだ。
こうしたなか、ミシガン大学の研究者が、低エネルギーの光子を反射させて再回収する技術を開発した。同技術では、99%の反射率を達成。電気に変換できなかったエネルギーを回収して、再生可能エネルギーの貯蔵コストを下げる。
空気層の厚さを光子の波長に合わせて調整
研究者は、効率を最大化するために、金箔のミラーを利用して吸収できない光子を反射させる方式を採用した。従来よりこの方式では、95%と高い反射率を達成している。研究者は、反射率をさらに高めるべく、光子を電気に変換する半導体材料とミラーの間に空気層を追加している。
金箔の反射は、光子が直接当たるよりも空気中を移動してからのほうが効率がよいという。研究者は、反射を最大限に効率化するために、空気層の厚さを光子の波長に合わせて調整した。
将来的には反射率を99.9%に
光子を効率よく反射させるためには、厚さ1.5マイクロメートルの半導体プレートと厚さ8マイクロメートルの金箔ミラーの間に、厚さ70マイクロメートル以上の空気層が必要とのことで、ナノメートル単位の正確さが求められる。
このため研究者は、金箔をビーム照射して裏打ちを施すことで、空気層の厚さを正確に制御した。研究者が開発した同技術については特許申請中とのこと。
研究者は、同技術をさらに改善し、光子を反射率を99.9%にまで高めようとしている。これが実現すれば、再生可能エネルギーの貯蔵手段として、蓄熱システムがさらに有望なものになりそうだ。