スマート電力管理の市場、2023年までに年平均18.46%成長
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/news/16/041612136/
調査会社の米360 Market Updatesは4月14日、スマート電力事業マネジメント市場が2018~2023年の期間に年平均成長率(CAGR)で18.46%成長するとの見通しを発表した。
同社が刊行した調査報告書「スマート電力事業マネジメント市場レポート(2018-2023)」によるもの。
同報告書では、スマートグリッドやスマートシティに関連したサービスやソリューションの分野に着目、2023年までの期間にわたる技術、地域、成長率、トレンド、市場予測などを調査・分析し、カギとなる企業のSWOT*1分析を行った。
その結果、太陽光発電や廃棄物発電といった分散型・非集中型発電システムの急増を通じて、電力系統をスマート化する重要性はますます高まっているという。
同報告書では調査対象の技術として、メーターデータ管理システム(MDMS)、エネルギー監視・管理、スマート配電管理などを挙げている。
また、同報告書ではスマート電力事業のサービスやソリューションでカギとなるサプライヤーとして、米IBM、仏Atos SE、スイスABB、独Siemensなどの企業をカバーしている。
スマート電力事業関連の市場で最も規模が大きい分野は、スマートメーターの管理である。電力事業者の大半が現在、法規制による要請や事業上の利点などによってスマートメーター・インフラ(AMI*2)の導入に取り組んでいる。
スマートメーターの導入に伴って大量のデータが収集されているが、同社によると電力事業者は当初そのデータの利点をよく認識していなかったという。AMI導入を成功させるカギは、スマートメーターで収集されたデータの価値を活用することだと指摘している。
大規模なAMIシステムでは通常、主なインタフェースがMDMSであり、MDMSがAMIの基礎的な部分を構成する。MDMSはスマートメーターから収集されたデータの収納庫として使用されると同時に、一連のアプリケーションを活用してさまざまな分析を行う。
地域的には、電力事業者のスマート化で近年最も進展が見られたのはアジア太平洋地域であり、代表的な国としてオーストラリア、日本、韓国を挙げている。
日本の場合、2024年までにスマートメーターの導入を完了させることが政府の方針として決まっており、全国で7800万台のスマートメーターが住宅や事業者などすべての需要家で設置される計画(関連記事1)(関連記事2)(関連記事3)。
2016年に設置済みスマートメーターの台数は1000万台を超え、例えば東京電力は2020年までに2700万台のスマートメーターを導入する見込みとしている。
さらに、韓国では韓国電力公社(KEPCO)が2015~2018年に1億5500万ドルを投資してスマートグリッドの開発からインフラ輸出までを見越したビジネスモデル構築までに取り組んでいる。また中国では、国家電網が2014~2015年の間に約9000万台のスマートメーターを設置完了したという。